山本 總さん 近況情報

CG画及び写真全集
『江の島今昔絵巻 2・3DCG & Z・SHOT』の出版

退職してからもう20年以上が過ぎ去り、これまで写真撮影にでかけ運動不足に対応してきたつもりだが、この頃は脚力の衰えで耐久力もなくなってきたので、考えたのが気軽に自転車で行くことが出来る、江の島の紹介写真集を創ることである。ここなら気が向いた時に、すきなだけ行って写真を撮ることもできる。

江の島の紹介本といえば観光協会のガイドブック等、おもに観光案内的な書籍が多く出版されている。また近年のスマホ普及による情報過多の時代、その検索によってほとんどの情報を瞬時に手に入れることもできる。活字離れがますます進んでいる現在、画像を主体とした絵本的なものが適切であろう。

そういう時代の出版不況の中で、もし新しい本を創るとなるとよほどこれまで知られていない、新しく興味ある情報をまとめたものでなければならない。それで今回江の島通いのかたわら、いくつかの訴求点をさぐりだした。

●今は昔の江の島の全姿 (江の島は1964東京オリンピックのため湘南港を埋め立て全体形状が 大きく変化、拡大された)

● 現存江の島弁財天像は八体(江の島のシンボル・弁財天で知られているのは奉安殿の二体とせいぜい岩本楼の一体だが、神仏分離廃仏稀釈で江の島外に移されたものを含めると八体が現存する)

● 現存弁財天道標は16基(元禄時代杉山検校は48基の道標を参詣人のため江島道に建てた。その内現存するものは市指定の文化財12基+αであるが、正確には16基でその場所も明らかにする)

● 江の島ロープウェー計画路線はココ(昭和のはじめ江ノ島電鉄により、江の島への渡行にロープウェーを建設する計画があったというが、これまでその路線は不明とされてきた。しかしココに懸垂電車(モノレール)計画とともにその内容を明らかにする)

● 1787年選定の江之島八景の今(天明7年、江の島の文人が江之島八景を選定し、神社におさめたがその内容の現在の光景を示す)

これらも含め江の島の情報をビジュアルでわかりやすく簡潔に示す。

この本の大きな特徴としてビジュアル本だが、その一部を3DCG画により創作していることである。3DCGといえば映画やTVで動画として普通に使用されているが、その為には莫大な時間、費用、技術を必要とする。これを一般絵画・静止画として使うことに挑戦している。これまで飛行機、軍艦などではかなり出版されているが、普通絵画用に人物画への使用を試みた。人物画はその形態が全部自由曲面からなりたっているし、それが無限に変化するので3Dデータにするのは難しい。形態を思いどおりにするためには関節の数の多さのため非常に手間がかかる。私の場合一度作ったデータを変形・使いまわしすること、ラフな静止画をつくり、2D修正を多用することで省力化をはかるようにした。3D段階で絵の構図、表現をよく検討することが重要である。またCG画としては後からの修正が容易であることも大きな特徴である。

今回「江の島今昔絵巻」を企画するにあたり、苦労させられた条件は著作権、肖像権の問題である。自動車デザインでも昔から意匠登録はひとつの課題であったが、現在では生成AIにも見られるように著作権はおおきな課題となっている。デザインそのものが既存の意匠をさらに発展させるというのがその手法のひとつである以上、なかなかどこで線引きするのかはたしかに難しい問題である。現在出版物に関してはそれが将来にも残るものとなるため、著作権については条件がさらにきびしくなっているといえる。画像についてはそれがネットでひろく拡散しているもののその使用はそれが一般的なものであれ、勝手に流用されることは許されない。グーグルマップなどもまず流用することは難しい、それを改変することはよけい困難である。

今回の例をあげると弁財天像写真を使いたかったがいちいち使用許可を得るのは面倒なのですべて割愛し、自作のCG画にとどめたといった具合である。また建築物など自分で撮影したものでも、あとあと問題を起こさないためにはその持ち主にことわりをいれておくのが良いといった具合である。

肖像権についても同様である。最近では個人情報の拡散制限があたりまえとなっているが、今回でも街中の一般写真に不特定の人物が写るのはやむを得ないが、その写真を使用するとなると個人が特定されないように修正する必要がある。TV映像では普通ボカシ効果で対応しているが、出版物ではこれはやりたくないので、私の場合顔をCG改変することで特定できないようにした。これらへの対応は企画内容の性格上かなりの量となるためその作業に手を取られた次第である。

また出版社の方でやってくれたことではあるが、出版にあたっての手順として藤沢市役所、神奈川県庁、江島神社、江ノ島電鉄、恵比寿屋などに事前確認をとるという手続きもおこなっている。

なおこの本購入希望の方はブログ「江ノ電沿線新聞社の本屋さん」から申し込んでください。
電話問い合わせは 0466-26-3028  でお願いいたします。